分譲マンションの保証期限知らないと「損」をします!!
投稿日:2024.09.12
今回は前回の分譲マンションの保証期限知らないと「損」をします!!
についてお話します。
前回のブログはこちらから
突然ではありますが、
分譲マンションの新築物件を買った人は覚えておきたい節目の年がある事をご存じでしょうか?
その節目の年とは2年、10年、20年という建物や設備の保証期間の事です。
知らないと、多額の「損」が発生してしまう場合もありますので、本日はその保証期限について、解説をしたいと思います。
■約1億円の支出を避けられた事例!(川崎市の大規模マンション)
川崎市にある大規模マンションにおいて、
建物などの保証期限が終わる前に外部検査を頼んだところ、様々な不具合が発覚しました。
なんとその修理費の見積もりは約1億円に上りましたが、売主が負担してくれたというものです。
結果、1億円の支出を避けられたとのことです。
おおくの新築マンションの最初の節目は「2年」といわれます。
共用部である外壁タイルの浮きなど多くの部分のアフターサービス期間とされる場合が多いようです。
これより長いのは5年とされる例が多く、給排水管・ガス配管など一部となります。
通常、事前に取り決めた一定の不具合は期間内に見つかれば無償で修理されるというものです。
その点検を実施せずにいると、余計な出費が必要なケースも発生します。
■保証期間終了前に不具合を検査するのが効果的(マンション事例)
修理費はマンション全体では多額になることもあり2年の期限前に検査することを強くお勧めします。
管理組合が払う検査費を上回る額の修理が、売主負担で実施される例が多い為であり、
川崎市の事例のように、約1億円の支払いを住人でおこなうことを想像すると大きなメリットがあります。
検査費はマンションの1戸当たり1万円~1万5千円程度が目安とされています。
大規模なタワーマンションなどなら総額600万円~700万円程度になりますが、
修理費が数千万円に上る場合もあり、無償修理できれば検査費用を捻出してもおつりが出ます。
大手管理会社の場合、無償で自主検査する例もありますが、
不具合が見過ごされる例もあり第三者検査の実施を検討されるとよいようです。
■管理組合のスピードが遅いと実現できない保証期間内の検査
マンション全体の検査には管理組合の総会で方針や予算を話し合い決議しておくことが原則となります。
総会は年一回程度開催のマンションが多い為、2年の期限前に間に合わせるなら、
早めに理事会などで検討を始めたほうがいいです。
実際、横浜市のあるマンションは準備に時間がかかり、
アフターサービス期限前の検査を断念したケースもあるようです。
その後、見つかった不具合の修理費、数百万円は管理組合が負担したようです。
■分譲マンションの新築物件を買った人は覚えておきたい「10年目」
次の節目は「10年」で、法律で定められた保証期間となります。
マンションに限らず、2000年4月以降の新築住宅で「瑕疵(かし)」と呼ぶ、
契約内容に適合しない状態があると、引渡しから10年は売主が無償修理などの義務を負うというものです。
対象は基礎や柱などの「構造耐力上主要な部分」と屋根など「雨水の侵入を防ぐ部分」の2つとなります。
契約に適合しない状態とは一般的には主要な鉄筋が抜けているとか、
新築なのにすぐ雨漏りするとか、住宅として基本的な機能を欠いた状態と考えられています。
■最後の節目は「20年」生命の危険などがある場合
最後の節目「20年」とは、もし11年目にこうした不具合が分かったら、
住人を守る手段はないのかについて解説します。
最高裁判所の判例は「建物の基本的な安全性を損なう欠陥があり、
住民などの生命、身体、財産が危険になる場合、施工・設計業者が損害賠償責任を負う」としています。
この場合、責任を問える期間は「20年」となります。
構造上の部分だけでなく、外壁タイルが浮いて剥がれ落ちる恐れなども、
住人や周辺の通行人を危険にするため対象に含まれ、
判決の趣旨から考えると、施工・設計業者だけでなく、売主の責任を問う余地もあるようです。
外壁タイルの浮きなどは、アフターサービスで2年保証が多いのですが、
アフターサービスと法律の保証は似て見えますが、全くの別ものとなります。
危険な状態が分かったときは、時間が経過していても申し出ることが大切です。
しかし、見つけた不具合が、建物の基本的な安全性を損なう欠陥であって、
売主などが普通に注意すれば防げたということを管理組合などが立証する必要がありますので、注意が必要です。
保証ルールへの理解が大切なのは戸建も同様ですが、
一般的にマンションは修理費が多額になりやすく、
所有者による決議などの手間もかかる為重要度はより大きなものとなります。
マンションの規模が大きいと、倒壊したり、外壁が剥がれ落ちたりしたとき、
無関係の周辺の人などにも被害が及びかねません。
被害者からマンション所有者が法的責任を問われることもあり、
修理費にかかわる損得も大切ですが、不具合を決して放置しないことのほうが大切です。
これからマンション購入される方は、このような知識も参考にしていただければ幸いです。
不動産事業部 松島豊