相続した空き家の解体費はいくらぐらい掛かる?!

相続した空き家の解体費はいくらぐらい掛かる?!

総務省の調査によると、全国の空家は2018年に約850万戸と1998年に比べ5割弱ふえています。空家は親など親族がなくなって相続で取得する例が多く、維持・管理費が負担となります。例えば定期的な手入れの際に必要な光熱費や水道代、万が一の火事に備える火災保険料などがその費用となります。

 

 

■「相続土地国庫貴族制度」がスタートしています(20234月より)

1「相続土地国庫貴族制度」がスタートしています

立地条件などが悪く賃貸や売却が難しければ、建物を解体するのが一案となりますが、解体後の固定資産税は住宅が建っている土地の軽減措置が受けられなくなる為、税額が高くなる傾向があります。しかし、更地のほうが老朽化した家があるより、状況が分かりやすいため、買い手が付きやすくなる可能性がありますが、その費用の捻出を巡っては、さまざま意見が分かれるところです。また、20234月より、相続した土地が不要な場合に国に所有権を引き取ってもらえる「相続土地国庫貴族制度」がスタートしています。対象となるには多くの条件があり、更地にすることは条件の一つとなっています。そこで、空家を解体するにはどれくらいの費用が掛かるのかを解説したいと思います。

 

 

■木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造の解体費の目安について

2木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造の解体費の目安について

まずしっておきたいのは、規模が同じくらいの建物でも構造や立地によって費用が大きく変わるという点です。家屋の構造は主に、木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造(RC)があり鉄骨造とRC造は木造に比べ頑丈なため解体に手間がかかり、工期が長くなる傾向があります。廃棄する建材の量も多く、運搬・処理を含めた解体費は一般的に高くなります。

 

あくまでも参考程度の価格ですが、木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造の2階建、延べ面積約100㎡の解体機の目安は下記の通りです。

 

・木造 住宅密集地:180万円前後  非密集地:150万円前後

・鉄骨造 住宅密集地:210万円前後 非密集地:170万円前後

・鉄筋コンクリート造 住宅密集地 280万円前後 非密集地:230万円前後

※解体エリア、周辺状況により、金額は大きく変わる場合があります

※住宅密集地とは前面道路の幅4m未満、隣家との距離60㎝未満の場合

 

 

■解体費が高くなる理由として、住宅密集地かどうかによって変わる?

3解体費が高くなる理由として、住宅密集地かどうかによって変わる?

立地では空家が住宅密集地にあるかどうかが、ポイントとなります。密集地に明確な定義はありませんが、建物の前面道路が幅4m未満、隣家との距離が60㎝未満とすり考え方があるそうです。道路幅が4m未満など狭くなると、一般的な戸建の解体で使う中型重機を搬入できないことで作業効率に影響の差が出ます。多くは小型重機を使うため作業効率が落ち、工期が長くなりやすく、隣家との距離が狭ければ、人手を掛けた作業が必要になり、費用が高くなります。

 

 

■その他の要因で解体費が増加する理由を把握しましょう!

4その他の要因で解体費が増加する理由を把握しましょう!

構造と立地以外の要因で解体費が増えることも多くあります。主要都市中心に広がる敷地いっぱいに家が建ち、重機を入れるスペースが全くない場合です。場所を作るため建物の一部をバールなどの工具を使って、手作業で解体する必要があり、費用が増加するケースが考えられます。古い建築物の場合、建材にアスベスト(石綿)を使っている建物は除去費が発生します。石綿は吸い込みと肺がんなどを起こす恐れがあり、20069月に含有製品の製造・使用が全面禁止されました。アスベスト(石綿)の禁止前に建てた家の多くは石綿を含むケースがあり、解体前の調査時に、使用の有無を調べますが、リフォーム等でアスベスト(石綿)が隠されてしまっている場合は、解体中に発見、その後の費用や工期が伸びてしまうケースもあります。敷地に浄化槽といった埋設物や大きな木・石がある場合も別途費用が必要となりますので、相続した建物に付属するものも解体費が増加してしまう要因となりえます。

 

 

■解体費を抑えるために「相見積もり」「補助金」を活用する?!

5解体費を抑えるために「相見積もり」「補助金」を活用する?!

解体工事に伴う家計の負担を抑えるにはどうすればいいかを考える際、まず大切なのは解体業者から相見積もりをとることです。その業者の保有する重機や作業員の人件費などが業者で異なり、見積額に差が出ることは珍しくありません。

 

工事の時期も注意が必要です。家屋がある住宅用地は200㎡まで特例で固定資産税は本有の6分の1になっていますが、更地にすると特例が原則外れ、負担調整措置の適用では34番程度になる場合が多いといわれています。

 

解体に補助金を出す自治体も多くあります。呉市では倒壊の可能性が高いと診断を受けた場合で、建物解体にかかった費用の30%かつ30万円までの補助金が出ます。

ただし、本年度の制度は929日までとなっていますのでご注意ください。

 

これから相続する空家も増えることから、相続した際の参考にお役立てください。

 

不動産事業部 松島豊

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